脚質(競馬)

競走馬の脚質とは

脚質(きゃくしつ)はそれぞれの競走馬が得意とするレースでの戦法の事を指す。体型や精神面によるものなど、様々な理由から競走馬はレースにおいて能力を発揮し易い戦法(走り方)があり、そのスタイルを大きく分けてカテゴリー化したものになる。一般的には逃げ、先行、差し、追い込みの4つに分類されることが多い。レースの展開によりそれぞれの戦法が有利あるいは不利に働くことがあり、またレースコースのコンディションや芝コース、ダートコースによっても戦法の有効性は変化する。

逃げ・大逃げ

逃げはレースがスタートした後、すぐに先頭に立ち、そのまま先頭をキープした形でゴールまで逃げ切りを目指す戦法。レース中に馬込みの中に入る事を嫌う馬がこの戦法を取る事が多い。競走馬が密集し易い小回りコースや直線が短いコース、または直線が平たんなコース等で有効な戦法とされる。また、逃げ馬は基本的に最内を走り続けられる事が出来るため、コースロスが少ない事という点も逃げ戦法が有効な点に挙げられる。

逃げ戦法のデメリットとしては、レース中に後ろを走る馬にマークされる展開になる事が多く、レース中にペースを落として息を入れるタイミングが無かった場合はラストスパートの時に体力が残っていない状態になることがある。この状態になってしまうと、4角や最後の直線で後ろから押し寄せてきた馬に飲み込まれ馬群に沈んでいくことになる。

他のケースでいえば最後の直線が長いコースは差し・追い込み馬の力が発揮されやすい舞台のため、後ろがごちゃごちゃしてくれたお陰で、逃げ切ることが出来たというケースが少なくなり、結果として後方から脚を伸ばしてきた馬に逃げ馬が差し切られることも少なくない。

なお、逃げ馬の中には稀に大きく相手を引き離してレースを進める馬もいる。この戦法は大逃げと呼ばれ、通常の逃げ馬の中でも時折こうした奇襲戦法を行う馬もいる。大逃げが上手くいくパターンとしては先行馬が後ろの馬を警戒する余り、追い出しが遅れ、気づいた時には逃げ馬はセーフティーリードを取っていたといったような展開になる。

先行

先行は逃げ馬の直後あるいはその次の集団の一角に位置して、4角または直線に入った際に先頭の馬を抜いてゴールに流れ込む事を狙った戦法。

競馬において最もオーソドックスな戦法で先行馬は勝率も高いが、一方で馬が密集している内側に追いやられて直線で抜け出すスペースを失ったり、馬込みの中で揉まれている間に体力・精神面で疲弊してしまうような展開も多く見られる。

そのため先行した場合の理想的な展開としては、道中は内側に潜り込み脚を貯めておき、直線で前がすっぽりと空いた際にそのスペースを活用して抜け出すことで、コースロスも少なく難なくラストスパートが出来るという展開が挙げられる。また、強い馬になると仮に直線で前を塞がれても外の馬を弾き飛ばし間を割って来る馬もいる。

ちなみに先行の具体的な定義は無いが、4角を回った際に先頭を走る馬を射程圏内に捉えている位置取りがおおよその位置になる。

差し

差しは先行馬の様子を伺いながら、最後の直線で前にいる馬を交わすスタイルになる。追い込みほど極端に後方に下げず、かつ先行よりも前目につけない位置でレースを進める戦法になる。

差しの優位点としてはレースのペースが速くなった場合など、前の馬がバテて来た際この戦法は有利に働く。差し戦法の場合はマークした逃げ・先行馬を交わした上で最後方の馬の追い上げを抑え込めれば勝利になる可能性が高まる。

一方で差し戦法のデメリットとしてはペースや前の馬群の配置などレースの展開に左右されやすいことが挙げられる。また多くの馬が前方にいるため、交わすために外を回るなどコースロスの可能性が高い事が挙げられる。そのため追い込みと同様に多頭数のレースなどでは注意が必要だと言える。詳細:差し

追い込み

追い込みは最後方から豪快に追い込んで他の馬を一気に交わしに行くスタイル。逃げ馬同様、馬込では他の馬を気にして力が発揮できないような神経質な馬やスタートダッシュが上手くなくレース進むにつれ徐々にアクセルを上げていくスタイルの馬が得意とするケースが多い。

レースの展開が極端に早くなった場合はもちろん、レースのペースが遅くなった場合でも先行集団との差が少ない状態であれば、ラストスパートに自身のある馬は末脚勝負で相手を一気に交わし切るレースも少なくない。

しかし、基本的に追い込みはレースのペースに左右され、前に多くの馬がいるため綺麗に追い抜いて行けなければ本領が発揮出来ない。そのため馬群をどうやって捌いて抜け出してくるかジョッキーの手綱さばきが要求される。なお、最後方からの一気の差し切り勝ちを殿一気(しんがりいっき)と表現したりする。

自在

競走馬の戦法の例外として逃げから追い込みまでどんな展開でも成績を残す馬がおり、そうした馬の戦法のことを自在と呼ぶこともある。自在に立ち回れる馬はどういった展開になっても自分のペースでレースを運び力を発揮することが出来るため、精神面が強く器用な馬だと言える。また逃げれる持久力と追い込める瞬発力を併せ持つことが自在戦法で結果を残せる馬となるため、競走馬としての総合能力が高い馬とも言える。

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